2015.5.16 UP

にゃんこのタケちゃん物語
〜その9〜

うちには少し大きめの仏壇がある。
当然、鈴(りん)も大きい。

夏、暑い。当たり前だ。
タケちゃんは、初めて夏を迎えた。
やはり、暑そうである。
丸いネコが、まっすぐ伸びて、ぺっちゃんこ。
そりゃ、暑いはなぁ、そんなに毛があれば。

今日も暑い。タケちゃんはというと…。
「あぁ、こらぁ! だめでしょ!」
タケちゃんは、仏壇の中で寝ていた。
涼しいのだろうか…。でも、なんとなく、
涼しそう…。

「ただいまぁ」
おねぇちゃんが帰ってきた。仏壇の前を通って、部屋へ行く。
「へ?」
おねぇちゃんの目の端に、なにか得体の知れない白いものが。
それも、あるはずのないところに…。
「ほへ?」
得体の知れない白いもの。
それは、仏壇の鈴の中にあった……。
なんだか、ふさふさしている。触ってみた。
にゃ?
眠そうな目をして、顔を上げた。
タケちゃん、そりゃぁ、鈴は、鉄だから、冷たいけど、
何もそんなとこで、寝なくてもいいじゃないか。
おねぇちゃんは、鈴を鳴らしたい衝動にかられたが、
ぐっと、がまんした。

そんなタケちゃんも、大きくなり、
自分のからだの大きさを鈴で測っていたのか、
今では、鈴に入らなくなった、いや、入れなくなった。
すっぽりとまぁるく収まっていたタケちゃん。
そんなきみが、おもしろかった。

たしかに、仏壇とそのまわり、そして、鈴の中は、涼しい。


2015.5.16 改訂版UP どちゃん!著


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